CSParkの姉妹サービスとして2014年より始まった体育会学生の就職サポートサービス"CSPark Career"。 ここでは体育会学生が就職活動と部活動の2つを両立し、共に全力で取り組めるようなイベントやサービスを提供していますが、今回からそのサポートの一環としてCSParkと連動した"元体育会学生"によるインタビューを連載していきます。
"体育会の強みって?"
"スポーツしかやっていなくて就職活動が不安…"
"実際に先輩たちはどういう仕事をしているの?"
… など、自分の進路を考える上で悩みは尽きないもの。その疑問や不安を解消し、1人1人の体育会学生が自信を持って就職活動に臨めるように、先輩たちが部活 に励む体育会学生の皆さんへのメッセージを添え てインタビューに協力をしてくれました。第2回は法政大学ラグビー部の卒業生であり、現在は丸紅株式会社で活躍中の小林慧祐さんにお話を伺いました。
商社に入れば何かやりたいことをが見つかるのではないか
−まずは、小林さんの経歴を教えて下さい。
5 歳のときにラグビーを始めまして、中学卒業まで地域のラグビースクールでやっていました。中学校から高校へはラグビーの推薦で法政二高に入りまして、大学はそのまま内部推薦で法政大学に入りました。法学部法律学科に入ったのですが、授業は市ヶ谷で練習は多摩と、キャンパスが違いました。法学部は他の学部に 比べて必須科目も多かったので、1年生のころは必須が多くて練習に出られないことも多かったです。ただ空いた時間にウェイトトレーニングやランニングをするなど、なんとか両立を図り、大学4年まで続けました。就職活動中はどこにいこうか悩み、どうしてもこれがやりたいといったことはありませんでしたが、 様々な商品を扱い、ビジネスを展開する商社に入れば、何かやりたいことが見つかるのではないかと思い商社を志望しました。自分は5歳からずっとラグビーをやってきて、狭い世界で生きてきたという思いもあったので、商社にいけば自分には無いものを持っている様々な人が集まっているだろうし、海外にもいけるだろうと。そういう漠然とした思いで商社を目指しました。それで、2012年に入社したということです。
−入社までに企業研究やOB訪問はしたのでしょうか。
OB訪問を特に重視しました。就活セミナーについては、座談会形式のものには参加しました。商社に行きたいと思っていたので、OB訪問は各商社の人にお願いしました。 家族の知人や、ラグビー繋がりで紹介をしてもらいました。あとは企業主催の座談会に参加したときに、”もっと話が聞きたいな”と思った人がいたら「後日またお話をお聞きしたいので、OB訪問をさせてください」と声をかけて名刺をもらって連絡をする、という形でした。
中国やフィリピンでの経験
−なるほど。それでは入社してからのお仕事はどういったことをやっているのでしょうか。
2012 年に入社してから、エネルギー第一部門のLPG部LPG課というところに配属されました。東京で1年半働いた後、2013年の10月、2年目の途中から北京に行って、10ヶ月間は中国語だけを勉強する日々が始まりました。毎日語学学校に行って、先生とマンツーマンの授業を1日6時間受け、その間に仕事はなく、語学習得に注力しました。そこで中国語がある程度話せるようになった後、残りの8ヶ月間は北京会社で中国語を使って働きました。あまり大したことはできませんでしたが、特定の商品に限らず、LNGや船の燃料を扱う企業など多くのエネルギー企業と面談や会食を持つ機会がありました。また、そこで得た情報は東京へ発信し、東京の担当部署の方が訪中する際には私が窓口となって、現地でアポイントをとって面談や会食をアレンジしていました。あとは中国の港にLNG船が入る際にその港に行って船に泊り込みで立会いをしたり、10年以上前に発生した中国の企業に対する債権を弁護士と協力して回収したりもしまし た。
−LPG課のお仕事を詳しく教えて頂いてもよろしいでしょうか。
プロパンガスのトレードです。中東から日本や中国の事業会社に持ってくるとか、または東南アジア内でのトレードです。入社から現在まで、船のオペレーションをメインに行っています。例えば、船が中東でプロパンガスを積んで日本に持ってくる間には多くの煩雑なプロセスがあります。この船が中東の港に入れるか、 船側のタンクと陸側のタンクをしっかり繋ぐ為の機材が揃っているか、といったチェックから始まり、移動中には天候と船のスピードを毎日チェックし、予定通 り進んでいるかを確認します。予定より遅れている時には「もっとスピードを出してくれ」と、逆に早すぎる場合には「燃料の消費を抑えてゆっくりでいい」というような指示を船のキャプテンに出すこともあります。そして、いざ港に着く前までに通関書類などの様々な書類を準備します。それは自分たちのみで作れる書類だけではないので、前広に、関係各所に必要な書類の作成を依頼したり、銀行さんとやりとりをしたり、ということもあります。トレードの業態は、例えば 中東から中国や、東南アジア内での売買というように、日本を介さない三国間貿易なので、基本的にお客さんは海外にいますから、接待等も非常に少なく、出張以外は基本的にオフィスでデスクワークをしています。
また、2年目のときはフィリピンによく出張に行っていました。新規でフィリピン向けの商売を作れないか、現地のお客さんに会って、価格やタイミングなど、様々な条件について話していました。その客先の新しいターミナルが完成したときには、視察に行ったりもしていました。
体育会出身者は"基礎"が出来ている。
−仕事をしていて、大学の体育会でやっていて良かったと思うことはありますか?
特に後輩社員を見ていて思うのが、体育会出身者は”基礎”が出来ているなと感じます。挨拶ができるとか、責任をもって何かに取り組むとかそういう部分は当た り前ですが、ちゃんと出来ない人は多いです。そういうことを考えると、自分は体育会出身で良かったなと思います。あとは体育会に所属しているとOBやコー チの方などと接することも多いので、目上の方との接し方を備えていて、上司との接し方も自然と身に付いていると思います。
僕は入社した時に英語が出来なかったんですが、英語しか使わない部署で、かつ会社のTOEICの基準を早くクリアするよう上司に言われていまして。それでしっかり勉強して、基準もクリアできました。今思うと、そういう姿勢があったからこそ、中国の研修というチャンスももらえたのではないかと思っています。 上司や先輩との接し方とか、どうやったら信頼されるかとか、そういうのを強く意識せずにやれたので、自然とチャンスがもらえたんじゃないかなと。あとは、 業務でどう生きているかというと、1つは単純に”体力”、これは絶対にあります。2つ目は、“これはすぐにやらなければいけない”、”これは後回しで良い”というような、物事に優先順位を付けて効率よく働くことだと思います。特に僕は大学の時に授業と練習のキャンパスが違い、時間を効率よく使うことが必要でしたので。効率よく時間を使うことで”やった方が良いけど別にやらなくても良い”ようなこともプラスアルファとして取り組むことで、また信頼も生まれるんじゃないかと思います。
−最後に、読者となる体育会の学生に向けてメッセージをお願いします。
" 英語ができないけど大丈夫かな”とか"学業面で不安がある”とか"世間を知らないけど大丈夫かな”という体育会の学生に有りがちな心配は不要です。自然と社会に出てやっていける素質は身についていると思います。大事なのは”今どういうことができるか"ではなく、"入ってからどう成長できるか、伸びしろがあるか” という部分だと思います。先輩に言われたことを素直に自分の中へ吸収して、苦手な部分・弱い部分を伸ばすとか、“これをやる”となったときに、集中して最後までやり遂げる力とか。そういうソフトではなく、ハードの部分が大事だと思います。ですので”今の自分に能力がない”ということは心配せずに、体育会で培った集中力や上司との接し方、また責任をもって何かを成し遂げるとか、そういう、気付いていなくても自然と身についている基礎の部分に自信を持ってほしいです。
あとは、親みたいなことを言いますけど、本は絶対に読んだほうが良いと思います。僕はずっと父親に言われてできるだけ本を読むようにしてきました。それは小説でも良いですが、僕は大学の時、本屋で話題になっているようなビジネス書を読んでいました。ビジネス書といっても、哲学の本でも、自己啓発本でも、有名な経営者の本でも良いと思います。会社に入ると過去のデータや様々な資料、または業界紙などを読み込むことが多く、インプットが大事になってきます。そのためには、漫画や小説とか読みやすいものだけではなくて、ちょっと難しい本を読んで”何かをインプットする”ことを学生のうちから習慣づけるというのは大 事だなと思いました。また、ビジネス書を読めば世間でどんなことが起きているかとかも多少はわかると思いますし、部活だけやっていても”こういう世界・考え方があるんだな”とか”こういうことが大事なんだな”と、必ず何か学びがあるはずです。最初から難しい物を読む必要はないと思いますけど、なんとなく興味のあるもの、本屋で話題になっているビジネス書などから読んでいく習慣をつけると良いかなと思います。学生さんなら電車の移動とかで読める時間もありま すし、そういうときにコツコツ読める人は、社会に出てから差が出てくるんじゃないかなとも思います。
<取材・文・写真 / 竹中玲央奈>
◯小林慧祐(こばやし けいすけ)
法政大学ラグビー部卒
丸紅株式会社 LPG部LPG課
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※上記情報は2015年9月時点のものになります。