はじめに
採用活動における最初の関門であるエントリーシート(以下、ES)。就職活動を始めるのであれば、進路が決まるまで幾度となく耳にも、口にもする言葉の一つです。
自己分析や業界分析、企業分析を経て、興味を持った企業の選考に合格していくには、まずはこのESを“しっかりと”書き、採用担当の興味を惹き、選考に通過しなければいけません。
ESを書く時のポイントについては、「入門編」として「PREP法」を紹介した記事を作っているので、そちらをまずはご確認ください。
この記事では、選考に落ちてしまった就活生のESを基に、よく聞かれる質問に対しての文章を、さらに細かいPOINTの視点で「どのように書けばよかったのか?」ということを説明していきたいと思います。
よくある質問「志望動機」
「学生がどれだけ自分の企業に興味があるのか?」
このことを判断するために必ずESで聞かれるのが「志望動機」です。
もちろん、企業によって評価ポイントは様々であるかと思いますが、どの企業にも共通して言えるのは「本当に第一志望か?」ということと「自分の企業でなくてはならないのか?」という2点です。
この2点が伝わる文章になるように、しっかりと論理的に文章を書くように心がけましょう。
事例1:フィットネス業界志望の学生(350文字)
【添削前】
貴社のインターンシップに参加した際に、お話を聞いた社員の皆さんが自分の仕事に誇りを持っていると胸を張っておっしゃっていて、私も誇りを持って仕事がしたいと思ったのと、健康をテーマに社会貢献したいという貴社の考えに共感を持ったため、志望しました。※①私は幼い頃から体を動かすのが好きで、子供が好きで、教えることも好きです。そこで、体を動かすことの楽しさや、体を動かすことで味わえる達成感を、多くの人に伝えていきたいと考えています。今後は今よりもフィットネス参加率を上げていけるように、お客様に対して居心地の良い環境を作り出していきたいです。また、自分自身も成長できるように責任感と向上心をもって行動していきたいです。(304文字)
POINT(全体):結論は最初に書く。
ESを読む企業の人事担当は1人で何十枚(企業によっては百枚以上)も読まなければなりません。文章の出だしで、企業の興味を惹くことができるよう、「志望した動機」については最初に書くようにしましょう。
今回のESでは、「自分の仕事に誇りを持っている社員がいる」ことがこの企業を志望した動機になるかと思います。それであれば、1文目からそのことを書き上げましょう。
最初に志望動機を書いたあとは、その次には「なぜなのか?」ということを続けて書いていきます。結論を最初に書くことで企業に興味を持ってもらい、それから「なぜなのか?」について、順序良く書き上げることが重要になります。
文章の書き出しの具体例を書いてみると...
私が貴社を志望したのは社員の方が仕事に対して「誇り」を持っているとおっしゃていたのが魅力的に見えたからです。なぜなら...
というようにかき始めると良いでしょう。
POINT(全体):「伝えたい事」を絞る。
この事例は1文目から終わりまで、「伝えたい事」を詰め込みすぎてしまっています。その結果、「何を伝えたいのか」がわからない文章と言えるでしょう。
もちろん、企業研究やOBOG訪問を重ねる中で「伝えたい事」がいくつもできる場合もあるかと思います。限られた文字数の中で、できるだけ情報を詰め込みたい気持ちも理解できます。
ですが、「伝えたい事」をただ書き上げるだけがESではありません。与えられた文字数の中で、どれだけ上手く(論理的に)「伝えたい事」を述べることができるかがポイントになります。
400字程度であれば、1つの志望動機に絞って書き上げるのが良いでしょう。今回のESでいうと、「社員の方が「誇り」を持っていることが魅力的だった」で書き上げるべきだと思います。
POINT(全体):「なぜこの企業なのか?」を明確に書く。
フィットネス業界の企業に対する志望動機ですが、「なぜこの企業なのか?」ということが明確に書かれていません。「体を動かすことが好き」な学生が、フィットネス業界を志望したということはわかりますが、ではなぜこの企業なのか?という部分が弱いと言えます。
「なぜこの企業なのか?」を明確に書いていなければ、「第一志望」であることの熱意は伝わりません。業界内にいくつも存在する企業の中で、「なぜ第一志望なのか?」ということは明確に書き上げましょう。
今回のESでは「社員が仕事に誇りをもっていた」ことが他社にはないことで、「誇りを持っている社員」と働きたいと感じたことが、この企業を選んだ動機になるはずです。そのことが伝わるように書き上げましょう。
書くとしたら次のような文章が良いと思います。
私が貴社を志望したのは社員の方が仕事に対して「誇り」を持っているとおっしゃていたのが魅力的に見えたからです。なぜなら、私自身の価値観として「誇り」を持って仕事をしたいというものがあり、同じフィットネス業界で働くのであれば、同じ価値観を持っている人達と働きたいと考えているからです。
競合他社との違いやその企業独自の特徴など、同じ業界でも必ず違いがあります。企業分析は、その違いに気づくまで突き詰めて行いましょう。
POINT①:1つの文が長すぎる。
言いたい事を詰め込みすぎて、文が長くなってしまうことが多々あります。できるだけ沢山の情報を詰めることは必要ですが、読みにくくなっては本末転倒です。長くならないよう、1文、1文を細かく区切りながら文を書きましょう。
事例2:人材業界志望学生の場合(200文字)
【添削前】
自分で考えて行動できる環境がある会社で働きたい。意識の高い※①、本気で社会を変えたいと思ってる※②人間と一緒に仕事がする事で野球以外にも誇れるものが得られると思ったからです。その中で成長を目に見える形で評価してくださる企業だったから。色々な事業の展開をしていて今後の未来を見据えている素晴らしい会社だと思ったから。(153文字)
POINT(全体):語尾は統一させる。
まずは語尾の論調を統一させましょう。「ですます調(敬体)」なのか「である調(常体)」なのか、どちらが良いということはありませんが、統一されていないのは中途半端な印象を与えてしまい、良い印象を与えません。
POINT(全体):要素を詰め込みすぎ。
事例1と同様です。200文字しかスペースがないのに、要素が沢山となってしまっています。志望動機がいくつもあるという場合もありますが、「伝えたい事をただ伝える」のがESではありません。200文字程度であれば、一番言いたい事1つにまとめましょう。
POINT①:漠然とした言葉は使わない。
近年、「意識の高い」という言葉をよく目にするようになりましたが、この言葉は使用する場面、使用している人によって意味が変わる言葉と言えます。
漠然とした言葉や抽象的な言葉は、印象が良いと考えられがちですが、使いすぎると能力が無いことを自分から暴露しているようなものです。自分から墓穴を掘るような人材は企業にとってマイナスになってしまうので、しっかりと具体的な言葉を使いましょう。
今回の「意識の高い」という言葉は、「社会貢献をしたいという意識が高い」という意味で使用していると思います。そうであればそのようにしっかりと書くべきです。
POINT②:「い」抜き言葉には注意。
「ら」抜き言葉はよく聞きますが、実は「い」が抜けてしまうことが多々あります。普段の日常会話ではそこまで気にならないですし、気にしないかと思いますが、「思ってる」ではなく、「思っている」が正しいでしょう。
最後に
以上が志望動機の事例になります。「なぜその企業なのか?」ということを伝えるには、想像以上に難しいことだと言えます。
得意不得意はあるので、なかなか上手に表現することができない人もいるでしょう。ですが、だからと言ってあきらめてはいけません。文章というのは、書けば書くだけ上達していくものです。苦手に感じているのであればこそ、何度も何度も書き直しましょう。
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